先日、FPさんたちとの情報交換で話題になったことを、こちらでもご紹介します。FP協会の会員に対する「業務基準規程」の中に、以下の条文(一部抜粋)があります。
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第3条 会員は、専門家としての業務を提供するに際して、以下の事項を書面を以て明確に顧客に開示しなければならない。
(1~3中略)
4 会員が、フィーオンリーの開業者であるか、コミッションその他の経済的利益を得ているか否か。
5 報酬に関する事項
((1)略)
(2)顧客をより専門的な会員その他専門家に紹介することに関して手数料を受領する場合にはその旨
(3)報酬がフィーだけか、コミッションだけか、双方であるか
※業務基準規程は下記よりご覧いただけます
https://www.jafp.or.jp/about_jafp/outline/regulations/files/gyoumukijun.pdf
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FP業務におけるフィーとコミッションはたびたび話題になるので、関心を持っている人も多いと思います。
この条文の意義は分かるのですが、「この条文を順守しているFP協会の会員さんって、まずいないよね」という話題になりました。
他の専門家の紹介で、手数料を受け取るかどうかを説明する人は、一定数いるように思います。
しかし自身の報酬がフィーかコミッションかまで書面で示すというのは、実践している方もいるとは思いますが、ほとんどの方はそうではないと思います。
実はその規程の中で、「業務基準規程を守らない会員に対しては、協会による懲戒手続が必要不可欠となる」という記述があります。
懲戒の存在をにおわせていますが、懲戒を定めた条項自体は存在しません。
実際、フィーやコミッションの書面説明をしなかったことで懲戒処分になったという話も、聞いたことがありません。
その情報交換の場にいたFPも、この条文に関してはいろいろ言いたいことがあるようで(笑)、次のような意見が出ていました。
・書面開示に意義は感じるが、規程として定めるものではない。協会会員への理念として掲げるなら、違和感なくてよい。
・協会として、フィーとコミッションの区分をもっと普及させたいのではないか
・それならFP協会が一般生活者向けに行うイベントで、「うちに所属のFPは書面でフィーかコミッションを明示するので安心してください」って率先すればいいのに
・執筆や講師の仕事の時は、この書面を誰に出すべきなの?
・書面開示が必須となり、やらなかったら懲戒対象になるという厳しい状況を作れば、独立系FPの職業価値が高まるかもしれない
・懲戒の対象にするつもりがないなら、懲戒で脅す記述は削除が望ましい
・協会に加入したことで書面提出などの事務が現実に増えるなら、入会を避けるor退会する人が増えるのではないか
フィーとコミッションの区別は、顧客への透明性・信頼性を高めるうえでは大切な考え方だと思います。顧客に不利益なことをしないという倫理観をもって、FP業務を行うことは大切ですからね。
ただしそれをFP協会が会員に指示(強制)するかどうかという点では、会員それぞれの立場によって、賛成派と反対派がいるように思います。
みなさんもお感じになった点があるかと思いますが、フィーやコミッションのあり方について、またFP協会の業務基準規程の意義について、考えるきっかけになれば幸いです。
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