養子縁組に関する事例のお話です。
当時、養親側と養子側で双方の合意があって、養子縁組をしました。
しかし月日が経って養子が、養親の面倒を見ない、助けない、養親の意に反することばかりする、などの行動をとります。
養親もたまりかねて養子縁組の解消を養子に申し出ます。しかし、養子側はこれを無視。
養子縁組の解消には、両者の合意のもと、養子縁組解消の届けを出すことが必要です。しかし養子側の協力がなければ、養子縁組解消はできません。
次に養親は考えました。
遺言に「その養子と離縁する」と書こう、と。しかし養子縁組は、遺言による一方的な解消はできません。やはり、両者合意のもとでの解消が必要だからです。
さらに養親は考えました。「推定相続人の廃除」です。
廃除すれば、その者は相続人としての身分を失うことになります。
この推定相続人の廃除は、遺言によって行うことができます。
その際のポイントは、廃除するに至る具体的な理由や経緯を遺言書に記載しておくこと、それと遺言執行者を指定しておくことです(遺言執行者が、廃除の手続きを家庭裁判所に取る必要があるため)
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過去にこのような経緯で相続人廃除を遺言に書いた事例がありました。
しかし結論としては、推定相続人の廃除は家庭裁判所に認めてもらえませんでした。
推定相続人の廃除は、被相続人に対する虐待、重大な侮辱や非行などの事実がなければならない、という要件があります。家庭裁判所は、その要件を満たすほどのことがあったとは言えないとして、推定相続人廃除を認めなかったのでした。
養子が気に入らないとか仲が悪くなった、という程度では廃除は認めてもらえないのです。
結局、養子は相続人の身分を持つことになりました。遺留分の請求権も持ちます。このような経緯がありながらも、養子はここぞとばかり、財産取得を主張するかもしれません。
養子縁組は相続税を下げる方法として語られることもあります。
必要性があって行ったのかもしれませんが、最後にこのようになってしまうと残念ですね。。。
養子縁組のご決断は、ぜひ慎重に・・・。
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