賃貸物件で、入居者が孤独死や自殺等で亡くなった場合、いわゆる「事故物件」の取り扱いがなされます。
次にその物件を借りる人にとって、それは重要な情報であるため、その告知が賃貸契約の現場で行われています。
ただし、事故物件の告知は、法律等で基準が定められていませんでした。
そのため個々の契約現場で、告知するかどうかが判断されていました。
そこで今年5月に、国土交通省が告知のガイドラインをまとめ発表しました。
このガイドラインによると、自殺や殺人事件などが過去3年以内に発生していればそれを告知すべきとされています。
マンションの廊下などの共用部分であった事故も、告知対象とされています。
一方で、病気や不慮の事故での死亡の場合は、告知不要とされています。
ガイドラインの詳細は、下記の国土交通省のサイトから見ることができます。
10ページ程度の資料なので、このことについて知見を深めたい方は、一度目を通しておくとよいでしょう。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000219027
国による一定の基準が示されたことは良いことだと思います。
しかしこのガイドラインは、法的拘束力を持つものではありません。
でも多くの不動産業者がこのガイドラインに沿って対応すれば、適正な情報開示のもとでの消費者契約が進んでいくように思います。
ところで、高齢者が賃貸物件を契約しにくいことが問題になっています。
高齢者を入居させることにより、将来的に孤独死等で事故物件になることを、大家さん側が恐れていることも一因と言われています。
人生100年時代となり、高齢者が多数となる時代には、高齢者だからと言って入居を断ると、大家さんとしても入居者を確保できなくなる可能性もあります。
そのためには入居者の安否を早期に確認できる賃貸物件など、孤独死を防ぐための一歩踏み込んだ仕組みが重要かもしれません。そういう施策も、国を挙げて取り組んだり、やる気のある民間事業者から登場してもらいたいですね。
ライフプランシミュレーションで、生涯賃貸暮らしのプランも見かけます。
そういうプランが実現しやすくなると、FPとしてアドバイスの選択肢は増えますし、日本全体としてライフプランの選択肢が増えるますからね。
個人的には、高齢者にも賃貸物件への選択肢が開放されてほしいと思います。
なお、この話題は8月に開催した「FPの実務キャリア向上 オンライン スタディグループ」でも取り上げました。
毎月、最新の法改正やFP実務力アップの話題を取り上げている勉強会です。
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今後の勉強会の開催予定
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■9/13(月) FPの実務キャリア向上 オンライン スタディグループ
■9/23(木・祝) 基礎から学ぶ! 65歳以降の社会保険と税金
■9/23(木・祝) 年金繰下げし過ぎで損する事例、税と社会保険の負担増
■10/11(月) FPの実務キャリア向上 オンライン スタディグループ
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