先進医療特約に関する、ちょっと深いお話です。
複数の保険会社で先進医療特約を契約したあとに、その保険金の支払事由が生じた場合、すべての保険会社から先進医療特約の保険金を受け取ることはできるのでしょうか?
実は昨年に、「保険の契約解除に値する重大事由であるため保険金は支払えない」と判断されていた事例がありました。
生命保険協会の裁定審査会に持ち込まれた事案ですが、保険金を払えない理由として、以下が挙げられていました。
・先進医療特約は、技術料相当額の実費保障という趣旨である(損害保険的な考え方)
・このケースでは医療保険に短期間で9社に加入。実費保障を超えた、著しく過大な加入である
医療保険に9社も加入しているうえに、先進医療からの保険金で、実費の数倍ものお金を得るわけですから、保険金を支払えないという解釈も理解はできます。
一方で、契約者側にも次の言い分がありました。
・特約保険料が安いので、お守り代わりにすべての医療保険に付加した
・保険金請求の時まで、これが契約解除事由であることを知る由もなかった
・重複加入、保険金過大の基準が明らかではなく、一方的に契約を解除された
私もこの言い分には、理解できる点があります。契約時に、これが違反であると知ることができればよかったのですが・・・保険販売の担当者も、分からなかったかもしれません。
先進医療を「お守り代わりに加入」とFPが説明することもありますよね。
ただそのお守りは1契約までが望ましく、先進医療特約の提案をするときは、すでにその特約に加入済みかを確認したほうがよさそうです。
先進医療の重複契約が解除理由になるという判断は、約款に小さく書いてあるかもしれません。気になる方は、保険商品の約款にも目を通しておくとよさそうです。
複数の先進医療特約で保険金を受け取れるかは、FPの間でも「受け取れる」という人と「受け取れない」という人に分かれます。
保険会社によっては、ホームページや資料で「他社で先進医療特約を契約していても、自社の特約では保険金を払う」と記載している場合もあります。
契約が9社よりもっと少ないのであれば、重複して受け取れるかもしれません。
業界として統一された見解がないため、判断が難しいお話なのです。
今回のケースについては、生命保険協会の下記サイトで公開されています。
https://www.seiho.or.jp/contact/adr/item/pdf/2020-105.pdf
誰もが読める形式で、判断基準が情報開示されています。
今回のケースでの判断にすぎず、あらゆる場合に適用できるものではありませんが、ひとつ参考にはなります。
ちなみに私は、去年に先進医療特約を2社で契約しました。
万が一請求するときがきたら、2社分受け取れるのでしょうか(・・?)
個人的にも、気になっている話題でした。
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