認知症による資産凍結の対策に保険が使える、という話を先日聞きました。
保険を使えば解決というものではありませんが、一つの参考にはなるかと思い、その内容を今日はご紹介したいと思います。
親が終身保険を契約し(契約者=親)、保険料を一時払いもしくは短期払いで払い込みを終えます。
その後、その保険の名義変更を行い、契約者を子に変更します。
この名義変更の時点では、子は所得税も贈与税もかかりません。
(注:契約者の死亡により、契約者が変更される場合は、解約返戻金相当額が相続税の課税対象となります)
名義変更後、子が保険の一部を解約して、解約返戻金を受け取ります。
このときに、解約返戻金の額が、贈与税の課税対象となります。
ここまでの内容は国税庁のサイトにも記載があり、FP試験でもまれに2級・1級で出題されていますね。
この保険の解約は、名義変更後に行うことから親の意思は不要で、子が単独で行えます。
なので親が認知症で判断能力がなくなっても、子が保険の解約という形で親の財産を取り崩せることから、認知症による資産凍結対策になるという理屈です。
聞いたときは、なるほど~これは便利!と思いましたが、ほどなくしてこの手法は本当に問題ないのか?とモヤモヤしました。
というのも、名義変更後、子が単独で好きな時に解約して贈与税の額を調整できてしまいます。これを税務署は課税逃れとみなさないだろうか?という点が気になりました。
この観点で何かご存知の方がいらっしゃれば、教えてほしいです。
あと、多額に保険を解約すれば、当然に高い贈与税負担が生じます。
名義変更後はそうならないよう、子の資金繰り(ライフプランニング)に十分な注意が必要となります。
それを考えると、老人ホームの費用などに限定して認知症になった方の銀行口座から引き出せる制度(まもなく始まる新制度)の方が、使い勝手はいいかもしれません。
が、こちらは引き出しの目的が限定されるのがデメリットです。
保険の名義変更後の解約なら、名目問わず現金化できるところは便利です。
本日は、保険を使った方法を書きましたが、これと似た仕組みに「家族信託」があります。
家族信託は、少しずつ普及を始めていますね。
高齢者の資産凍結の問題は、これから少しずつ増えていくでしょう。
それに対処するためのいろいろな方法は、私も知っておきたいと思います。
(メリットだけでなく、デメリットもね)
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