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高齢期に医療費がかかることを、ライフプランでどのように見積もるべきか

FP相談現場で、相談者から「医療費はどれくらいかかるの?」「医療費はどれくらい見積もっておけばよい?」といった質問をされることもあるのではないでしょうか。
ライフプランシミュレーションをするときの、老後生活費の見積もりにも影響する点ですね。私も、FPの方から「医療費をどう見積もったらよいか?」と相談を受けることもあります。

 
私の感覚ではありますが、老後の生活費は、現役時代よりも少なくなると見積もるFPが多いように感じます。
老後は若いときのようにお金を使わなくなるから、がその根拠のようです。

総務省統計局が発表している「家計調査」のデータを見ても、年を取るごとに支出の合計額は下がっています。
それを見れば、老後の生活費は下がるという根拠になります。

ところがその内訳を見てみると、食費、交通通信費、趣味の費用は年を取るごとに下がっているものの、医療費は逆に増加をしています。

厚生労働省が発表している「国民医療費の概況」を見ても、年を取るごとに医療費は急激に上昇しています。
この医療費は、いわゆる10割負担額であり、生活者が支払う額ではありません。
75歳以上は原則、医療費自己負担が1割(現役並み所得の人は3割)であり、高額療養費制度もあるので、実際に家計が支払った医療費が集計された家計調査の方では、劇的な増加というほどの上昇率ではありません。

以上を踏まえて、高齢期の生活費の見積もりは、例えば「医療費単体だけを見れば上昇するが、全体としては下落の傾向がある」というような説明が望ましいのかもしれません。

 
FP相談を数多く経験すると見えてきますが、医療費は実に個人差が大きいものです。全国平均額ですべてを語れるものではありません。
しかも75歳以降の医療費を2割負担にする改正案も出ています。
もしそのとおり改正されたら、統計に載っている額以上の支払いが、これからの時代に必要となる可能性もあります。

これらも含めて老後の安心が得られるファイナンシャルプランニング力(説明力を含む)が、FPに求められてくるように思います。

FPの方に質問されたら、だいたい私は上記のように回答をしています。
FP相談での参考になれば幸いです。

 
【以下、参考】
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2.html
家計調査の結果(総務省統計局)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/18/index.html
平成30年度 国民医療費の概況(厚生労働省

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201124/k10012729131000.html
75歳以上の医療費負担が2割になることの報道

 

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